校内の研修て使用した論文です。

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討論の授業を目指して
5・6年担任 永山 祐
 
1,討論の授業までのステップ
 向山洋一氏は、討論の授業までのステップを明らかにした。

指名なし朗読→指名なし発表→指名なし討論
 
 上の三つのステップで指導するという。
 このステップには、一貫して「指名なし」という方針が貫かれている。
 子ども達が自らの力で討論を進めるためのステップなのである。
 
2,指名なし朗読
 朗読という言葉を使っているが、一般にいう音読のことである。
 「次は、○○さん」と、教師が指名などをしないで、次々と音読させるのである。
 次のように、指導した。

 今日は、先生が指しませんから、自分から立って「。」まで読んで下さい。一人が読み終わったら、次の誰かが立って読みます。何人かの人が立ったら、譲って座って下さい。その人も必ず読んでもらいます。
 
 この最初の指導で、失敗したことがある。
 一つは、この指名なし朗読の指導以前の問題である。
 列指名や男女交代などで、リレー的に読む練習を積んでいなかったことである。
 指名なし朗読以前の指導として、子ども達が次々と音読できるということが必要であることに、後から気づいた。
 もう一つは、この指名なし朗読にも細かな指導技術があるということである。
 石黒修氏は、模擬授業で次のような方法を使っていた。

@全員が一度読むまで、同じ子には読ませない。
A続かなくなったとき、まだ読んでない子を全員立たせ、一斉に読ませる。
Bリーチ(次に読みたい子はそっと立っている)をかけさせる。
 
 このように、指名なし朗読をスムーズに指導するためには、指導技術を駆使しなければならないのである。
 
3,指名なし発表
 指名なし朗読の次は、発表を指名なしでさせる。
 次のように指導した。

 先生は指しませんから、ノートに書いたことを立って発表して下さい。何人も立ったら譲り合って下さい。一回目どうぞ。
 
 この指導も、全員に発表させる指導技術を使わなければならない。
 また、このときに大切なことがある。

 子どもが自分の考えをノートにたくさん書いている。
 
 ノートに書いていることが少なければ、子どもの発言は続かなくなる。
 そして、元気のいい子が何回も発言するということになってしまう。
 
4,指名なし発表の実践  
 右の図(図は重たくなるので省略)は、『有田式調べる力を鍛えるワーク』の弥生時代のページである。
 拡大したものを黒板に貼り、また印刷したものを配布する。
 次のように指示を出す。

 この絵を見て、気がついたこと、思ったこと、わかったこと、何でもいいですから、ノートに箇条書きにして下さい。
 
 目標を30にした。30に達しない子もいたが、たくさん書いていた。
 たくさん書けていなければ、指名なし発表はできない。
 (2)のように指示を出し、次々に発表させた。
 
5,指名なし討論
 指名なし発表から、指名なし討論へ進むのは容易ではない。
 発表と討論の間には、大きな壁がある。
 指名なし発表は、前の発言に関係のあることをいわなくてもいい。
 自分の発表したいことを発表すればいい。
 しかし、討論となると、前の発表を受けて、賛成意見あるいは質問や反対意見を言わなければならない。
 現在、指名なし討論を目差して勉強中である。
     
6,指名なし討論へのヒント
 ここでいう「指名なし討論」は、本校での「討論の授業」の一部である。
 「討論の授業」の中の「討論」の部分で、教師が指名しないということを強調しているのである。
 指名なし討論ができなければ、「討論の授業」とは言えないと考えている。
 指名なし討論のために、いくつかのヒントを見つけた。
 これから実践していきたいと考えている。
 
(1)内部情報を蓄積させる。
 子ども達が、討論のテーマに関する知識をたくさん持っていなければ、討論は成立しない。
 これは、予想の段階では、浅い討論にしかならないことの原因である。
 子ども達に、情報を蓄積させる手だてが必要である。
 
(2)ノートに考えを書かせる。
 自分の考えをノートに書くということは、情報を整理することにつながる。
 ノートに書くということは、思考することでもある。
 ノートに考えを書くことにより、考えをまとめ、発表しやすくなる。
 
(3)ほめる
 子どもが安心して発言できなければ、討論以前の問題である。
 教師が、全ての発言を認めることから、雰囲気作りが始まる。
 
(4)発言の仕方
 反論の時に、次のような発表の仕方を指導する。

 意見の最後に「〜か。」をつける。
 
 「もし〜ならば・・・ではないですか。」という形などである。
 言われた方は、答えなければならなくなる。
 また、発言者に聞いてもらう工夫をさせるのもいい。
 例えば、「○○くん、どう思いますか。」と聞かせるのも一つの方法である。
 
 先行実践に学び、「討論の授業」を目指したい。
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